今回は、年明けのバルカン半島周遊旅行で訪れた、コソボの首都プリシュティナをご紹介します。
正直に言うと、実際に行ってみたら何か面白いことがあるのではと期待していましたが、ここまで何もない首都は初めて でした。西ヨーロッパの都市と比べると、娯楽は比べ物にならないくらい少ないです。
ただ、人は非常に親切で、日本ではほとんど知られていない国の首都を歩けたのは貴重な経験でした。この記事では、夜着・翌日の昼に出発という弾丸旅程で回ったルートと、日本語の情報が少ない空港からの移動やバスの乗り方をまとめています。
ちなみにコソボは、2008 年にセルビアからの独立を宣言した、ヨーロッパで最も新しい国の一つです。日本は独立を承認していますが、セルビアなど承認していない国もあります。EU には加盟していませんが、通貨はユーロが使われています。
プリシュティナ観光の旅程(モデルコース)
1 日目(夜着)
| 時刻 | 場所 |
|---|---|
| 20:15 | プリシュティナ・アデム・ヤシャリ国際空港着 |
| 21:15 | タクシーで市内へ。マザー・テレサ通りを散策 |
| 21:35 | ライトアップされたモスク・夜の旧市場 |
| 21:45 | Hotel Heimli にチェックイン |
2 日目(昼にスコピエへ)
| 時刻 | 場所 |
|---|---|
| 7:40 | 朝の市場 |
| 7:50 | スカンデルベグ広場 |
| 8:00 | NEWBORN モニュメント |
| 8:10 | Mama Mantia で朝のコーヒー |
| 8:25 | マザー・テレサ大聖堂 |
| 8:30 | ビル・クリントン像 |
| 8:40 | バスターミナル ⇒ バスでグラチャニツァへ |
| 9:15 | グラチャニツァ修道院 |
| 10:15 | バスでプリシュティナへ戻る |
| 10:35 | バスターミナルのチェバビ屋で昼食 |
| 11:30 | バスでスコピエ(北マケドニア)へ |
旅行全体の日程
| 日付 | 旅程 | 泊 |
|---|---|---|
| 1/4 | 日本 ⇓(イスタンブール経由) 20:15 プリシュティナ | プリシュティナ泊 |
| 1/5 | プリシュティナ観光 11:30 プリシュティナ ⇓(バス) スコピエ | スコピエ泊 |
| 1/6 | オフリド観光 | オフリド泊 |
料金は 1 ユーロ=180 円で計算しています。
20:15 プリシュティナ・アデム・ヤシャリ国際空港に到着
イスタンブール経由の便で、夜にプリシュティナに到着しました。

空港の名前になっているアデム・ヤシャリは、1990 年代のコソボ紛争で、セルビア勢力と戦ったコソボ解放軍の指導者です。コソボでは国民的な英雄として、空港や広場の名前に使われています。
空港から市内へはタクシーしかない
プリシュティナ空港から市内へは路線バスがなく、タクシーで向かいました。空港は市内から 15km ほど離れています。夜に到着する場合は、タクシー一択だと思っておいた方が良いです。
空港の前で客待ちしていた、いわゆる野良タクシーで、料金は 15 ユーロ(約 2,700 円) でした。乗る前に料金を確認しておくと安心です。
注意:ahamo やヨーロッパ周遊 SIM はコソボで使えないことが多い
ahamo の海外ローミングは、コソボでは使えません。また、一般的な「ヨーロッパ周遊 SIM」や eSIM も、対象国にコソボが入っていないことが多いので注意が必要です。コソボは EU に加盟しておらず、独立を承認していない国もあるため、ヨーロッパの周遊プランから外れていることがあるようです。
バルカン半島を周遊する方は、SIM や eSIM を購入する前に、対象国にコソボが含まれているかを必ず確認しておきましょう。
21:15 マザー・テレサ通りを散策
市内の中心を南北に貫くのが、歩行者天国のマザー・テレサ通りです。

私が訪れたのは年明けすぐだったので、通りにはイルミネーションが輝いていて、クリスマスマーケットも開かれていました。



夜でも人通りが多く、地元の家族連れで賑わっていました。
通り沿いの壁には、「KOSOVA REPUBLIKË! KU ËSHTË UKSHIN HOTI?(コソボ共和国! ウクシン・ホティはどこだ?)」という落書きがありました。

ウクシン・ホティは、コソボのアルバニア人の権利を訴えた哲学者・政治家で、1999 年の紛争中に行方不明になったまま、今も消息が分かっていない人物です。華やかなイルミネーションのすぐそばで、紛争の記憶がまだ生々しいことを感じさせられました。
21:35 ライトアップされたモスクと夜の旧市場
マザー・テレサ通りから少し北へ歩くと、ライトアップされたモスクが見えてきます。

このあたりはプリシュティナの旧市街で、位置からすると、オスマン帝国の時代の 15 世紀に建てられた「スルタン・メフメト・ファティフ・モスク」だと思われます。コソボは国民の 9 割以上がアルバニア系で、その多くがイスラム教徒です。
モスクの隣には、屋根付きの屋台が並ぶ市場がありますが、夜はすべて閉まっていました。

21:45 Hotel Heimli にチェックイン
宿泊したのは、旧市場のすぐ近くの Hotel Heimli です。1 泊 1 人 15 ユーロ(約 2,700 円) でした。

トイレとシャワーは共同ですが、1 泊寝るだけなら十分です。

ヨーロッパでこの値段で泊まれるのは、なかなかありません。物価の安さは、コソボの魅力の一つです。
2 日目 7:40 朝の市場
翌朝、ホテルの窓からは、旧市場の屋台の屋根が見下ろせました。

朝の市場は、野菜や果物を並べる準備が始まっていて、昨夜とは打って変わってローカルな雰囲気でした。


7:50 スカンデルベグ広場
マザー・テレサ通りの北側にある、スカンデルベグの騎馬像が立つ広場です。

スカンデルベグは、15 世紀にオスマン帝国と戦ったアルバニアの英雄です。アルバニア系の人々にとっての民族の象徴で、アルバニアの国旗の双頭の鷲も、スカンデルベグの紋章に由来しています。

8:00 NEWBORN モニュメント
プリシュティナで一番有名な写真スポットが、こちらの「NEWBORN」モニュメントです。

2008 年 2 月 17 日の独立宣言の日に除幕されたモニュメントで、「新しく生まれた国」という意味が込められています。毎年の独立記念日に、新しいデザインに塗り替えられることでも知られています。
8:10 Mama Mantia で朝のコーヒー
朝のコーヒーは、Mama Mantia というカフェで飲みました。前日に空港から乗ったタクシーのドライバーもこのお店を知っていたので、地元ではそれなりに有名なお店のようです。


カフェラテとデザートで 4.50 ユーロ(約 810 円) でした。カードのタッチ決済で支払えました。

ちなみに、このお店の住所は「ジョージ・ブッシュ通り」です。コソボは、紛争を終わらせるきっかけになった NATO の介入を主導したアメリカへの感謝が強い国で、アメリカの大統領の名前が付いた通りがあります。
コソボは、コーヒー文化が根付いた国としても知られていて、街の中にはおしゃれなカフェがたくさんあります。数少ない娯楽の一つが、カフェでゆっくり過ごすことなのかもしれません。
8:25 マザー・テレサ大聖堂

2017 年に完成した、カトリックの大聖堂です。
マザー・テレサは、現在の北マケドニアのスコピエで生まれたアルバニア系の修道女で、コソボでも国民的な尊敬を集めています。この後向かうスコピエには、彼女の生家の跡地に記念館があります。
8:30 ビル・クリントン像

ビル・クリントン通りに立つ、アメリカのクリントン元大統領の像です。1999 年に NATO の空爆を決断し、コソボ紛争を終わらせた大統領として、コソボでは英雄のように扱われています。ほかの国ではなかなか見られない光景です。
8:40 バスターミナルからグラチャニツァへ
プリシュティナのバスターミナルから、バスでグラチャニツァ修道院へ向かいました。

- グラチャニツァ行きのバスは、プリシュティナのバスターミナルから出ています
- 料金は 1 ユーロ(約 180 円) です。車内で切符を受け取ります
- 所要時間は 15 分ほどです

なんと、行きのバスでは、車内で仲良くなったコソボ人がバス代をおごってくれました。コソボの人の親切さを、身をもって感じた瞬間でした。

9:15 グラチャニツァ修道院

グラチャニツァ修道院は、1321 年にセルビア王ミルティンが建てた、セルビア正教会の修道院です。「コソボの中世建造物群」として世界遺産に登録されています。
修道院の内部は写真撮影禁止だったので写真はありませんが、私がこれまでに訪れた中で、一番暗くて素敵な場所 でした。
修道院自体は小さいのですが、その分、薄暗い空間に包まれるような没入感がすごく、まるで異世界の中にいるような感覚でした。プリシュティナに来たら、ここはぜひ訪れてほしい場所です。
ちなみに修道院の内部は、14 世紀に描かれたフレスコ画で覆われていて、セルビア中世美術の傑作として知られています。

修道院の門には、武器の持ち込み禁止の表示がありました。グラチャニツァは、アルバニア系が多いコソボの中で、セルビア系の住民が多く暮らす地域です。修道院の周りの街では、コソボの国旗ではなくセルビアの国旗が掲げられていて、バスで 15 分の距離なのに、まるで別の国に来たような感覚になりました。

10:35 バスターミナルのチェバビ屋で昼食
バスでプリシュティナに戻り、バスターミナルのチェバビ屋で昼食をとりました。


チェバビは、ひき肉を棒状にして焼いた、バルカン半島の定番料理です。大きなパンに挟んだり、玉ねぎやキャベツと一緒に食べたりします。
11:30 バスでスコピエへ
この後、プリシュティナのバスターミナルから、バスで北マケドニアの首都スコピエへ向かいました。料金は 8.50 ユーロ(約 1,530 円) です。
プリシュティナ発スコピエ行きのバスの時刻(2026 年 1 月時点)
| 出発時刻 | 行き先 |
|---|---|
| 6:30 | スコピエ |
| 7:25 | スコピエ |
| 11:30 | スコピエ |
1 日 3 本しかないので、時刻は事前に確認しておきましょう。
スコピエへ行く前にグラチャニツァへ寄るのが意外と効率的
グラチャニツァ行きのバスと、スコピエ行きのバスは、どちらも同じプリシュティナのバスターミナルから出ています。
そのため、私のように朝早く起きて頑張れば、午前中にグラチャニツァ修道院を往復し、バスターミナルで昼食をとってから、11:30 のバスでスコピエへ向かう という流れが組めます。荷物を持ったままでも動きやすく、スコピエへの移動日に世界遺産を 1 つ回れるので、意外と効率的なルートでした。
スコピエの観光は、スコピエ編 で紹介しています。
かかった費用
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| ホテル(Hotel Heimli・1 人分) | 15 ユーロ(約 2,700 円) |
| Mama Mantia(カフェラテとデザート) | 4.50 ユーロ(約 810 円) |
| 野良タクシー(空港 ⇒ 市内) | 15 ユーロ(約 2,700 円) |
| バス(グラチャニツァ ⇒ プリシュティナ) | 1 ユーロ(約 180 円) |
| バス(プリシュティナ ⇒ スコピエ) | 8.50 ユーロ(約 1,530 円) |
| 合計 | 44.00 ユーロ(約 7,920 円) |
※行きのグラチャニツァ行きのバス代は、バスで仲良くなったコソボ人がおごってくれました。チェバビ代は含みません。
まとめ
今回は、コソボの首都プリシュティナの観光モデルコースをご紹介しました。
プリシュティナ観光のポイントをまとめると、以下のとおりです。
- 空港から市内へは路線バスがないので、タクシーで向かう(野良タクシーで 15 ユーロ)
- ahamo の海外ローミングや、一般的なヨーロッパ周遊 SIM はコソボで使えないことが多いので、事前に確認する
- 中心部はコンパクトで、マザー・テレサ通りを軸に、主要なスポットは半日あれば歩いて回れる
- 物価は安く、1 泊 15 ユーロのホテルもある。通貨はユーロで、カードも使える
- 世界遺産のグラチャニツァ修道院へは、バスで 15 分・1 ユーロで行ける。内部は撮影禁止だが、小さい分だけ没入感がすごく、異世界のような空間
- スコピエ行きのバスは 1 日 3 本(6:30・7:25・11:30)で 8.50 ユーロ。同じバスターミナルなので、朝にグラチャニツァへ寄ってから 11:30 のバスに乗るのが効率的
- 人は非常に親切。一方で、西ヨーロッパの都市と比べると娯楽はほとんどない
正直、このレベルで何もない首都は初めてでした。観光の見どころを期待して行くと、拍子抜けすると思います。
それでも、NEWBORN モニュメントやビル・クリントン像、街に残る紛争の記憶、そしてバスで 15 分のセルビア系の街と、ほかの国ではなかなか見られない「新しい国」の姿を感じられたのは貴重な経験でした。バルカン半島を周遊するときに、1 泊だけ立ち寄るのがちょうど良い街だと思います。
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